2015年4月10日金曜日

冷え性を改善するには





ということで今回は「冷え」です。





これだけ悩む方の多い冷えですが、いまのところ西洋医学的には解決法がないようです。というのは西洋医学ではそもそも冷えは「病気」とは認められないためあまり重要視されておらず、そのメカニズムが解明されていないためです。



しかし「冷えは万病の元」とも言うように、東洋医学ではこの「冷え」を健康のバロメーターとして重要視していて、冷えは「未病」の状態であり、冷えのある方は言ってみれば病気予備軍と診断されます。





なので前回は西洋医学的な視点から書きましたが、今回は東洋医学的(中医学的)な視点から書いてみます。







前回むくみについて、「血液やリンパ液の流れをよくすることが大切」と書きましたが(→詳しくはコチラ)、東洋医学では「気・血・水のバランスと流れの良さ」が体の健康状態を決め、「気が流れれば血が流れ、血が流れれば水が流れる」と言われます。



血はそのまま「血液」、水は「リンパ液や脳脊髄液などの体液」で、気とは「意識」であると僕は解釈していて、「気が流れれば血が流れ、血が流れれば水が流れる」というのは、「体のある部分に意識を向けるとそこに血が集まり、それに伴いリンパ液などの体液も移動する。」ということなのだと考えています。


(鍼を刺したりや気功で体が変わるのも、針や指先が刺激を与えたところに意識が向き、神経や血や体液の流れを変化させるからではないかと思います。)








前回書いた「むくみ」などは、まさにこの「水」のめぐりが悪いことで引き起こされる症状で、水の流れを管理するのは主に腎(臓)の働きですので、東洋医学的な診断では「むくみ」は腎の気(働き)の乱れとなります。



腎は「冷え」とも密接に結びついていて、体が冷えすぎると腎の働きは弱まり、腎が弱まると更に体が冷えるようになります。従って、今回のトピックの「冷え」も前回のトピックの「むくみ」も、腎の働きを正常にすることが東洋医学的な治療となります。






また東洋医学的に言って腎はエネルギーの貯蔵庫であり、生命という新たなエネルギーを生み出す生殖活動と密接に結びついているので、腎の働きが乱れると生殖器の不調をまねきます。(例えば、女性で言えば生理不順、不妊、子宮内膜症、男性で言えば精力減退など。他によくあるのは慢性的な疲労感)



実際色んな方を診ていると、経験的に女性でひざ下が冷える、という方は何らかの婦人科系の不調を抱えている方がとても多く、それが更に進行するとお尻の辺りまで冷えるようになってきます。従って、そのような婦人科系の不調を治すにも、腎の働きを正常に戻すことが必要となります。


(ちなみに男性の場合は頭にエネルギーが溜まって思考にばかりエネルギーが消費され、手足に意識がいっていない頭脳型の方が冷えに悩むことが多いような気がします。そういう方はまずは手足の指を動かして意識を向けるようにすることから始めてみて下さい。)









腎は寝不足や過労などの影響を受けやすく、そういう状態が続くと働きが乱れますので、腎の働きを正常に戻すためにまず自分でできることは、「体を温めること」、「過度な仕事や運動は控えること」です。もしごく軽い症状であれば、体を冷やさないようにしてゆっくりと休んでいれば自然と治ります。








ただし、長年冷えやむくみ・婦人科系の不調が続いている場合は、腎だけの問題ではなく、他の臓腑の働きも一緒に悪くなっていることが非常に多いです。





例えば僕が診る限り一番多いパターンは、ストレスなどが原因で胃腸の働きが落ち、食べたものがうまく消化吸収されずにエネルギーにならず、エネルギーの貯蔵庫である腎に余計な負担がかかり、その結果冷えたり、むくんだり、生理不順になったり、妊娠しにくい体になったりする、というものです。


(これは西洋医学的な視点で見ると、胃が疲れてきて下に垂れたり(胃下垂など)腫れたりすることによって(胃炎など)、骨盤内の圧が高まって血流を阻害するため冷えたり、むくみんだり、子宮や卵巣が圧迫されてうまく働くなる、という風に説明できるかもしれません。)





更に言うと、色んな方のお腹を触って話を聞いていると、必要以上の薬の使いすぎなどによって肝臓がはれて働きが落ち、それが消化の力を弱くすることが原因で胃腸を痛めている方も多いように感じます。







その様に胃腸や肝臓など他の臓腑の不調までもが絡んでいる場合、自分の努力だけで治すのは簡単ではありません。ツボや気功を使って内臓の力を高めるのは、僕の得意とする治療の一つですので、長年の冷えやむくみ、生理不順など婦人科系の不調のある方は是非一度ご相談ください。必ずお力になります。









ちなみに腎は感情的に言うと「不安」の影響を受ける臓器なので、腎の乱れによる不調のある場合、心をやすらかに毎日を過ごすことも大切です。そのためには以前詳しく書いた瞑想もとても役に立つので是非試してみてください。






さて、前回のむくみも今回の冷えも東洋医学的にみれば主に腎の働きの乱れであるというのが今回のテーマでした。腎の司る「水」の一つ、リンパ液については軽く前回も触れましたが、私たちの体の健康状態を大きく左右しているので、次回はリンパについて書きます。








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