2015年4月1日水曜日

足のむくみ ~ 原因と解消法


毎日色んなお客さまを診ますが、むくみは冷えとならんで一番良く聞く女性の悩みの一つです。


「そもそもむくみってどうして起きるの?」「どうしたらよいの?」と聞かれことも多いので、今回はむくみについて、そのしくみと自分でできる簡単な対処法をまとめてみます。







むくみは一言でいうと、「滞った水」です。

むくみを理解するにはまず体のしくみを知る必要があります。



体のあらゆる細胞は活動するためにエネルギーを必要としますが、その主なエネルギー源となる、腸で食物から吸収された栄養分と、肺で空気から吸収された酸素は、動脈の流れにのって心臓から体の隅々へと運ばれてゆきます。


木が大きな幹から次第に小さな枝に分かれていくのと同じように、動脈も大動脈から毛細血管へと分かれていき、最終的に栄養や酸素はその毛細血管から水分(血漿)と共に血管の外に染み出して、各細胞へと届けられています。


その毛細血管から染み出した水分は、栄養や酸素を細胞に渡して、かわりに細胞からの老廃物や疲労物質などを受け取った後、大半は血管に吸収され静脈を通って血液に戻りますが、残りの部分は、水道から出た水が排水口を通して戻っていくように、リンパ管を通ってリンパ液として戻っていきます。





むくみは、この排水口がつまっていたり、排水がうまく流れなかったりして、水道から出た水が洗面台から溢れでるように、毛細血管から染み出した水分が、うまくリンパ管に吸収されずに細胞のまわりに溜まることで起こります。







したがって、むくみを解消するためにはこのリンパ管を流れるリンパ液を滞りなく流してあげることが大切になってくるのですが、実はリンパ管には大きな欠点があります。


それは、「リンパ管には、血管と違って心臓のような強力なポンプの役割をするものがないので流れが弱い」というもので、私たちの人間の体は、そもそも構造的に余計な水分が手足に溜まりやすいようになっています。


ただ、心臓のような強力なポンプがないかわりに、リンパ管には、所々に体幹の方向に向かって弁があり、逆流をふせぐようなしくみになっていて、手や足の筋肉の動きがポンプの様な役割を果たし、血液やリンパ液がところてんみたいに、ちょっとずつ先へ先へと押し出されて、戻ってくるように設計されています。


(ちなみに血液は全身を約40秒で巡るそうですが、リンパ液が体を一周するのには12時間かかると言われています。)







一般的に女性は男性よりも筋肉の量が少ない分、この筋肉によるポンプの働きが弱く、また女性は子宮がある分骨盤の中の血液やリンパ液の流れが滞りやすくなるため(特に妊娠時)、女性の方が男性よりもむくみに悩むことが多くなります。


(そのかわりにエストロゲンという女性ホルモンの働きによって水分の流れをよくしているのですが、生理前にはこのホルモンが減少するので水分が溜まりやすくなり、それがむくみや体重の増加・頭痛を引き起こしたりするようです。)


また、私たちは重力の中で生きているので、当然体の中で一番下にある足に水分は溜まりやすく、一日の中では、朝より夕方~夜の方がむくみやすくなります。


そして、体を動かすことの少ないオフィスワーカーの方がむくみはおきやすくなりますし、ハイヒールを履いていたりすると足首の動きが小さくなるので、これもまたむくみの原因の一つなります。









ということで、このリンパ管を通るリンパ液や静脈を通る血液の流れをよくして、溜まった水分(や疲労物質と老廃物)をうまく流れるようにしてあげることが、むくみを解消するためには必要となってくるのですが、そのためには、ポンプの役割を果たしてくれる足の筋肉を動かしてあげることがとても大切です。


(心臓の圧が届きにくい静脈にも、逆流を防ぐための弁がついていて、足を動かしてあげることで、心臓の働きをサポートするようになっています。)










むくみの対処法として一番簡単に自分でできることは、時々足首を回してあげたり、ひざを曲げ伸ばししてあげたり、あるいは歩いたり階段を上ったりして足の筋肉をよく使ってあげることです。


他には軽くふくらはぎをマッサージしたり、運動をしたり、あるいはお風呂に入って循環をよくすることも効果的です。( 運動については以前書いたコチラの記事もご覧下さい)


時々机の上に足を置く人がいます。あれはあまりマナーとしてはよくありませんが、足に溜まった老廃物や疲労物質を流す、という点では体のためにはよいことで、実は人間としてはごく自然で本能的な行動なのかもしれません。疲れた時やむくんだ時には足をちょっと高い位置にあげてあげるのもよいでしょう。


また除基本的にリラックスしている時は循環がよくなり、緊張状態にある時は循環が悪くなるので(交感神経が活発になって血管が収縮するため)、楽しむことやホッとするような時間をつくってあげることもとても大切です。








最近このリンパの流れをよくするという、リンパマッサージやリンパドレナージというのも流行っていますが、これらは物理的に末端に溜まった体液を体幹に押し流すものです。リラックス効果も手伝って、もちろんそういうものを受ければ当然一時的にはむくみは解消されますが、あくまで一時的なものであって、根本的な解決にはなりません。


むくみやすいという方は、元々体の循環が悪くなりがちな体質だったり、あるいは何かしら循環が悪くなる様な生活をしているはずなので、普段の生活を少し変えて、意識して歩くようにしたり、足の筋肉を使う運動をしたり、体をあたためて血行を良くしてあげることが大切です。





今回はむくみのしくみと自分でできる対処法についてまとめてみました。次回は冷えについて書いてみたいと思います。


(ちなみに先に書いておくと、女性の場合ひざ下の冷えは生殖器の不調からくることが多く、それが更に進むとお尻のあたりから冷えてきます。)








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