2014年11月20日木曜日

「熱が出る」のは「悪い」こと?




突然ですが、「熱が出ること」 = 「悪いこと」 だと思っていませんか?


「熱が出ると頭は痛いし、体はだるいし、仕事も休まなきゃいけないし。さっさと解熱剤を飲んで下げてしまおう。」

そんな風に考えている方が世の中には多いと思います。




しかし、そもそも何故熱がでるのか知っていますか?






マラリアという病気があります。結構こわい病気で、僕の友人もアフリカでマラリアにかかってケープタウンで死にかけました。マラリアにもいくつか種類がありますが、基本的にどれもかかると高熱が出ます。




ではなぜ熱がでるのでしょうか?

マラリアという「病気が発熱を引き起こす」のでしょうか?




実はそうではありません。

熱が出るのは、「体が熱を使って病気を治そう」としているからです。





どういうことかというと、


マラリアと呼ばれる病気は、ハマダラカという蚊に刺されることによって、マラリア原虫という小さな小さな虫が血の中に入ることによって引き起こされます。この虫は体内に寄生すると、肝細胞で増殖し、赤血球を破壊しながら増えていこうとします。


赤血球は血液に乗って、「肺で取り入れた酸素を体の各部に運ぶ」という大切な役割を果たしていますので、これが壊されてしまうと、酸欠によって体の各部がダメージをうけることになります。これは体にとっては好ましくないことです。


そこで体に備わった「免疫」機能が働いて、この虫を体内から排除しようとします。赤血球と同じように血の中に住む、白血球やマクロファージがこの虫を感知し、捕まえて食べはじめます。この戦いが始まると、指令が脳にいき、体温が上がるのです。


それは、体温が上がると白血球の働きが高まり、逆にマラリア原虫の活動は熱によって制限されるからです。高熱がでて体が震えるのも、それによって熱が高めるために体が行なっていることです。





これが発熱の「しくみ」です。






つまりざっくり言うと、「体は高熱になることで虫を殺している」わけで、熱は体にとって「外敵と戦うための武器」の一つというわけです。



ということで、「熱が出る」のには「ちゃんと意味がある」のです。






私たちは普通こんな小難しい理屈を意識して、「熱を出して」いるわけではありません。何千年・何万年という経験から得た知恵が、遺伝子レベルで体に蓄積されていて、私たちがそれを知っていようと、知っていまいと、体が自動的に「熱を出す」という選択をしてくれているのです。


一説では、ガン細胞も高熱に弱いと言われていて、ガンにかかった方が、高熱を出した後、奇跡的に快方に向かった。というようなことを耳にすることも時々あります。


「体を温める」ことの重要性は最近よくメディアでも取り上げられていますし、「体温をあげて健康になろう」という類の本もよく出版されていますが、それにはこういう背景があります。







僕は、健康体の成人であれば、40℃を超えるような高熱でもない限り、無理に薬で下げない方がよいのではないかと思っています。それは、マラリアの例でも分かるように、私たちには理解できなくても、体が何らかの理由によって「発熱」するという選択をしているからです。


そこには何千年・何万年(もしかしたらもっと)をかけて受け継がれている「人という種」としての「体」の叡智が働いているわけで、時として自分達には理解できなかったとしても、「体」がやることには何らかの意味があるのだ。と僕は信じています。






また私たちの体に備わった免疫機能自体も、困難を乗り越える度に更に強くなります。


風邪をひいて熱がでて、辛いから薬をのめば楽にはなるでしょう。でももっと強いウイルスにかかったらどうするのでしょう?

そして、もしそれが治療薬のないものであったら?






恐らくそこで生死を分けるのは、私たちの体の「免疫力」です。


大したことでもないのにいちいち薬に頼っていると、体の「力」がその本来の働きを忘れてしまい、いざという時に働きが鈍るのではないかと僕は思います。(なので何年か前に、最近話題になったデング熱にブラジルでかかった時も、薬を使わず治しました。)




ちなみに「がん」は現代において誰もが恐れる病気ですが、健康な人であっても、ガン細胞は毎日数百個~数千個、体の中にできているということは知っていたでしょうか?

でも、私たちの体にはこの「免疫」機能がちゃんと働いていて、それらのガン細胞取り壊しているために、ガン細胞が増えることはありません。逆をかえせば、「がん」になるのは、この「免疫」機能が弱まり、その増殖を抑えられなくなるからです。

そういうことを知れば、体の「免疫力」を高めることが、いかに大切か分かるのではないでしょうか?





そこで考えてみましょう。

その熱、それでも解熱剤で下げますか?












ちなみに現在では、西洋医学会でも、「軽微な発熱であれば解熱剤は使わない方がよい」、という考え方が広まりつつあるようです。





(但し、お年寄りやお子さんの場合、成人であっても体力や精神力の弱っている場合などは、そもそもの免疫力がそれほど強くないので、十分注意をした方がよいでしょう。)

もしこういうことにご興味があれば、野口生体の創始者、野口晴哉先生のご本を読んでみてください。体について、心について、色々な発見があって面白いと思います。










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