2015年1月25日日曜日

ストレスと不眠と睡眠薬とお酒 〜 快眠のコツ その3



結婚式のスピーチや大事なプレゼンの時など、大勢の人の前で何かしゃべらなければいけない時、心臓がドキドキし胸が苦しくなるのは誰もが一度は経験したことがあるのではないかと思います。



なぜああいう風になるのでしょうか?





私たち「人」という種が、今のように強力な武器を獲得する前、世界は危険に満ちていました。獲物を狩りに行く途中や、木の実を採りに行く途中、バッタリ猛獣と出くわすことも少なくなかったでしょう。


そんな時、戦うにせよ逃げるにせよ、持てる力の全てを使う必要がありました。





そこで私たちの体は、「敵」に出会うと、体の隅々の筋肉に血液を送るために血管が広がり、心臓の鼓動が速くなり、血圧が上がるようになりました。その方が生き延びるために有利だったからです。


また酸素をできる限り多く取り入れるために呼吸は激しくなり、目からできる限り多くの情報を取り入れるために瞳孔が開きます。

毛は虫で言う触角みたいなものですから、鳥肌が立ったり髪の毛が逆立つのは多分、より細かな空気の動きを感じとるためでしょう。

また、手のひらから汗が出るのは持っている武器を落とさないためで、足の裏から汗が出るのは動く時に滑りにくくするためと言われています。


そしてそんな時に食べ物を食べたり、眠ったり、排泄したりすることはありえないので、消化・吸収や排泄の機能は抑えられ、覚醒物質がでて眠気は吹き飛びます。





アドレナリンという言葉は誰もが聞いたことがあるでしょうし、使ったこともあるかもしれませんが、体にこういう反応を引き起こすのは、交感神経の指令により放出されるアドレナリン・ノルアドレナリン・コルチゾールなどの「ストレスホルモン」の働きによるものです。







現代の日本では街中で猛獣に出会うことはまずありませんし、幸いなことに今のところ、夜中に敵に襲われることもまずありません。



ただし、「肉体的」な危険がなくなった代わりに、「精神的」な危険は相変わらずそこかしこに残っています。

そして「精神的」な危険や「敵」、いわゆる「ストレス」も、猛獣に出会った時と同じ反応を私たちの体に引き起こし、それらは時に、人を動けなくしたり、殺すことさえあります。



むしろ「肉体的な敵」と違って、それが解消されない限り私たちに24時間付いてまわるだけ、「精神的な敵」の方がたちが悪いのかもしれません。





そんなわけで、私たちの体は強いストレスを受けると血圧は上がり、心拍や呼吸は乱れ、食べたものがうまく消化・吸収されないのでエネルギーは低下し、排泄が抑制されるので便秘になり、そして覚醒物質が出て眠れなくなります。


(結婚式のスピーチや、大切なプレゼンや、好きな人に告白する時にドキドキするのも、私たちの心がそれを「危険」と判断しているからです。)







さて、そんな風にストレスで眠れない時、多くの人は薬かお酒に頼るようなので、それについて一言。





まず睡眠薬についてですが、眠っている時の脳波の測定によって、睡眠薬を飲んだ時の眠りは、飲まない時の眠りと比べて浅いということが分かっています。つまり同じ時間寝たとしても、「薬を飲んで眠った時は眠りの質が落ちる」ということです。



そして「昔の睡眠薬(バルビツール酸系)と違って、今の睡眠薬(非ベンゼジアゼピン系・ベンゾジアゼピン系)は副作用がない」みたいなことが時々言われているようですが、STAP細胞とは違って、副作用は「必ずあります。」

原理的に言って、「望ましい作用だけがあって副作用が全くない」薬はありえません。それは薬を「導入剤」と呼ぼうと、「睡眠薬」と呼ぼうと何も変わりませんし、また睡眠薬以外のいかなる薬でも同じことです。お医者さんや製薬会社の人達がどれだけ何を言ったとしてもそれは間違いありません。



どうしても眠れない時に、短期的に使うのは有効な時もあるでしょう。しかし、睡眠薬を長期に渡って飲み続けるのは、耐性や依存性、副作用を考えると、僕は絶対にオススメできません。


(ちなみにうつ状態になった時もやっぱり眠れなくなります。効鬱剤に関しては「うつ病のマーケティング」に書いたので、興味があればそちらもご覧になってみてください。)







「一杯やると寝つきがよくなる」という理由で夜にお酒を飲んで眠る方も多いようですが、お酒もまた同様です。実はアルコールを摂取すると確かに寝つきは良くなりますが、逆に途中で目が覚めやすくなります。

つまり薬と同様に、お酒も眠りの質を悪くします。







ということで、薬もお酒も快眠を奪います。

なので、前回までに書いてきた光や体温に気をつけつつ、根本であるストレス、「心の問題」を解決するのが、より良く眠るためには最も大切なことです。





(ちなみにストレスや心の問題を解決することが大切なのは、睡眠に限らず、高血圧でも、不整脈でも、便秘でも、なんでも同じです。薬を飲めば血圧は下がるでしょうし、トイレには行きたくなるかもしれません。でも根本を正さずに、もれなくおまけで副作用が付いてくる薬で症状を抑えることに、一体どれほどの意味があるのでしょうか?)







ついでに書いておくと、私たちが生き残るのを助けてくれた有難い「ストレスホルモン」も、慢性的なストレスにさらされて放出されすぎると、胃潰瘍や胃の痛みを引き起こし、高血糖になって糖尿病になりやすくなりますし、免疫力が落ちて風邪を引きやすくなり、病気や傷は治りにくくなります。


また脂肪代謝が狂って太りやすくなり、筋肉は落ちて骨はもろくなります。そしてストレスホルモンと同時に男性ホルモンも増えるので、女性でもヒゲが濃くなったりニキビが増えたりしますし、ストレスホルモンを作るためビタミンCが消費されて、結果的にしみが増えたりもします。


また敵のいる環境で子育てをするのは安全でないからか不妊も引き起こしますし、アドレナリンの麻酔作用で痛覚や感覚が鈍くなるので、体内で病気や不調が進行していても気がつきにくくなります。




つまり一言で言うと、ストレスや心の問題を放置しておくと、何一つ良いことはありません。







ではストレスや心の問題を解決するにはどうしたらよいのでしょうか?





それにはいくつかのアプローチがあります。



楽しく時を過ごせるようなことをするのがストレスを「散らす」一番簡単な方法で、それは人によってはお風呂に入ることかもしれないし、歩くことかもしれません、また好きなスポーツをすることもよいでしょう。(個人的には、登山やハイキング、サーフィン、スキーなど自然の中で体を動かすのが一番よいような気がします。)


ストレスや問題の多くは、そうして過ごしている内に時が解決してくれるでしょう。





それより更に根の深い問題やトラウマなどは、時間が解決してくれることはあまり望めません。日本ではまだそれほど一般的ではありませんが、カウンセリングやコーチングを受けてみるのがとても有効だと思います。僕もそれらを学んでいますし、専門分野や得意分野の異なる色々なカウンセラーやコーチも知っています。もしご興味があればHPからご連絡ください。





また心と体は深く結びついているので(→詳しくは「ココロとカラダ」もご覧ください)、体からアプローチをすることもとても有効な手段です。体が変わると実際に物事に対する感じ方も変わりますので、カラダからストレスや心の問題を解決することもできます。特に頭やお腹は心と深く結びついていて、そこは僕の治療の専門分野なので、お手伝いできることがあると思います。是非ご相談ください。





そして最後に、もし今、何かしらストレスや心の問題を抱えているとしたら、何よりも大切なのは、周りの環境のせいにしたり、人を責めるのを止めて、「自分が変わる」ことです。

このブログ(特に「ココロ」の投稿)にも、そのために参考になりそうなことを書いているつもりですし、これからも色々と書いていこうと思っていますので、時々覗いてみて下さい。





「瞑想」も、時間はかかりますが、ストレスや心の問題を本当の意味で深い部分から解決するためにとても有効だ、と20年近い自分の瞑想体験を通じて感じています。なので、そろそろ瞑想についても書いてみようかと思います。






では今回はここで











2015年1月20日火曜日

お客様の声 : 30代女性 - 肩こり


「知る人ぞ知る素敵なサロン、腕の確かな爽やか先生」


原宿の喧噪を忘れさせる、知る人ぞ知るサロンです。施術室はアロマの香りに、寛げる照明とインテリア、綺麗なパウダールームもあり、女性に嬉しい空間です


気功の先生のイメージを覆す、お洒落で爽やかな先生が丁寧に話を聞いてくれます。

施術はとても穏やかなもので、痛みなどなく、眠ってしまいそうになります。私は、施術中に血行がよくなり、手足が温まるのが感じられました。身体の中で、詰まって滞った「何か」の通りが良くなる、そんな感じでしょうか。


「身体の不調の根本原因となっている事は何か?」それを一緒に考えてくれる、そして、確実な結果を出してくれる腕の確かな先生です。



30代女性 O・K様 カウンセラー





治療のご予約・お問い合わせは
Eva Cuore Body (03-6804-6766)




2015年1月15日木曜日

「未病」を治す


「明らかな病気ではないけれど何だか調子が悪い」状態を「未病」と呼ぶ。「未病」とは、病気でもないけれど健康でもない、健康から病気に向かう道の途中、とも言える。





多くの人は、健康を失って、病気になって、初めて健康であることのありがたみに気が付く。そしてお医者さんでもない限り、病気や死に身近に接する機会はあまりない。


だから、「未病のうちに治すことが大切。」と、どれだけ言われたとしても、ピンとこないのかもしれません。





僕だって昔はそんなことを考えたことはありませんでした。でも今、そう考えるようになったのには、明確なきっかけがあります。


僕が以前勤めていた治療院には、沖縄から北海道まで全国から色んな病気を抱えた患者さん達が毎日何十人も集まっていました。その中にはお医者さんから余命を宣告をされた方達もいたし、現代医学では治療法がない様々な病気の方達もいました。そこにいた三年間の間に亡くなった方も何人もいました。

そこでの三年間で、「病気になってしまってからそれを治すことがどれだけ大変か」ということを、実際にこの手で触って、この目で見てきました。





だから、こう思わずにはいられません。

もし、そんな風になる前に、もっとずっと早い段階で、「ちょっと調子が悪いな」くらいで済んでいるうちに、自分の心や体に意識を向けてケアをしていたら、あの人達は死なずに済んだのではないか、こんなに苦しまなくてよかったのではないか、と。


ごくごく一部の方を除いて、そこまで症状が進むずっと前に、体には色んなサインが出ていたはずです。そのサインをちゃんと受けとって、あらためるべき所をあらためていたら、きっとそうはならなかっただろう、と。






だからこそ、今は

「未病」のうちに治すことが大切だと、
「病気にならないようにする」ことが大切だと、
「健康であり続ける」ことが大切だと、

心からの実感を持ってそう思います。





病気になってから治療をするのではなく、そうならないように、できる限り早い段階で、自分の体や心に耳を澄ませてケアをして欲しい。病気にならない様に予防をして、健康を維持して欲しい。



そのお手伝いをすること。
そして、そういう考え方を広めてゆくこと。



それが僕のライフワークだと思っています。



2015年1月5日月曜日

快眠のコツ その2 〜 睡眠と体温



















光とメラトニンが眠りの質を大きく左右するのと同じ様に(→詳しくは「睡眠1」)、体温も私たちの眠りに深く関わっています。



子育てをしたことがあれば、子供が眠りに落ちる前に頭や体が熱くなるのをご存知の方も多いと思いますが、私たちの体は、体温が下がっていく時に眠気を感じるようになっていて、子供の頭が眠る前に熱くなるのは、体内にこもった熱を頭から放熱して体温を下げているためです。







どんなに暑い夏であっても、身を切るような寒い冬であっても、私たちの体の奥深くの体温はある一定の温度に保たれていて、外の暑さや寒さに関わらず、波の様に規則的に上がったり下がったりしています。


基本的には、目を覚まして活動をするにつれて段々と体温が上がっていき、起床から11時間後に最も高くなり(もし朝7時に起きたら夜6時が体温のピーク)、その後段々と下がっていって、起床から22時間後(この場合朝5時)に最も低くなります。







一日や二日の徹夜や夜遊びでは、この深部体温のリズムはそう簡単にはずれませんが、逆に、慢性的に夜更かしが続いて、リズムが一旦ずれてしまうと中々戻すこともできません。



(夜うまく寝付けないという方は、この深部体温のリズムが後ろにずれていて、眠りたい時間になっても体温が下がらず、眠くならない可能性があります。そして「睡眠1」で書いた通り、この時に、眠れないからといって携帯やPCをいじったり、TVを見たりしていると、更に後ろにずれていくことになります。)









「睡眠はお肌に大切」と女性が言うのをよく耳にしますが、これは寝ている時に脳(下垂体)から出る成長ホルモンの働きによるもので、成長ホルモンはその他にも体の疲れをとったり、成長を促進したり、脂肪を燃やしたり、筋肉などあらゆる組織や細胞の修復や再生をしたりと、私たちの体にとって、とても大切な役割を果たしています。



そしてこの成長ホルモンは、眠りに落ちた時の「体温の下がるスピード」が速いほどたくさん放出されます。







つまり私たちの体は、朝起きて、光を浴びてから15時間後にメラトニンが放出されて眠くなるちょうどその頃に、深部の体温もぐっと下がってきて更に眠くなり、その時に眠れば成長ホルモンもしっかりと出るので、グッスリと深く眠れて、スッキリ爽快に目覚められる。

そんな風につくられているのです。





なので、体に溜まった疲れをスカッととって、スッキリと目覚めるためには、「眠っている間に成長ホルモンをたくさん出す」ことが必要で、そのためには「眠りに落ちる時に体温がぐっと下がる様にしてあげる」ことが必要です。









「中々寝付けない」とか、「いくら寝てもすっきりしない」という方は、前回書いた光に気をつけることに加えて、この体温を意識してみてください。





具体的には、例えば眠る1~2時間前に、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、ヨガやストレッチなどごく軽く体を動かして、一時的にわざと体温を上げてあげると、自然にそこから体温は下がっていくので、それを利用したり、今のように寒い時期なら眠るときに湯たんぽなどを使うのも効果的でしょう。



冷え性の方は靴下を履いて寝ている方も多いと思いますが、手先や足先、頭からは熱が放出されるので、できれば素足で眠った方がうまく体温が下がるようです。どうしても必要ならレッグウォーマーなどを使うとよいかもしれません。





ただし、先ほど書いた様に一度ずれたリズムは中々戻りにくいので、すぐに効果がでなくても、光にも気をつけつつ、めげずに続けてみてください。











ちなみに、よく巷では「22時~2時がお肌のゴールデンタイム」で、その時間に眠っていることが大切と言われていますが、実はこれは科学的な根拠はないようです。


というのもこの成長ホルモンは、眠る時間に関わらず、眠りの初めの30分~1時間で訪れる深い眠りの時に最も多く分泌されるからで、つまり何時に寝たとしても成長ホルモンが分泌されないことはないからです。


ただし一説によると、生命活動のリズムという観点からすると、午前2~3時の間に成長ホルモンの分泌が多くなるので、その時間は寝ていた方がよいそうです。










更に話はそれますが、この成長ホルモンが分泌されるのは、眠っている時意外では、「空腹の時」と「適度な身体的/心理的ストレスのある時」だそうです。





野生の動物は、怪我をしたりして調子が悪くなると、何も食べずに寝て過ごしますが、本能的にそれが傷や不調を回復させる一番の道と知っているからなのでしょう。



最近健康のためにファスティングやプチ断食をすることが流行っているようですし、書店に行けば「一日一食にしよう」なんてタイトルの本も並んでいます。また昔から断食をすることによって重病を治す断食療法は盛んですし、長寿と健康の秘訣は小食などとも言われていますが、消化器官を休ませるという観点からも、成長ホルモンという観点からみても、それは科学的にも正しいのでしょう。





僕の尊敬するある鍼の先生は「調子が悪いとか言いながら、バクバク食べて更に体を壊しているのは人間だけよね。おかしくて笑っちゃう。」と仰ってましたが、全く同感です。



戦時中ならいざ知らず、現代人、少なくとも現代の日本人の大多数はほぼ間違いなく食べすぎでしょう。ひとときの欲望を満たすために食べて飲んでお金を使い、それで壊れた体を治すのに更にお金を使っている姿は、視点を変えればとても滑稽なのかもしれません。







睡眠についてはあともう一度くらい書きたいと思います。
今回はこれで。





2014年12月23日火曜日

自然と暦と生活








沖縄の八重山諸島、西表島の道の終わり、南の果てに南風田(ハイミダ)というビーチがある。今ではどうだか知らないけれど、15年くらい前、そのビーチには何ヶ月、中には何年もキャンプしながら住んでる人達がいた。



僕もその浜に一月ぐらいテントを張って暮らしていたことがある。

目の前にはエメラルドグリーンの海とサンゴ礁が広がり、小川がいくつも流れていて飲み水には困らないし、その辺を歩くヤドカリを餌にして魚を釣ったり、ヤシガニを食べたり、気が向いたら海に潜って魚を突いて、昼寝して、たまにヒッチして街にでて食料を買い込んできて、夜はその辺の人たちと火を焚いて酒を呑む。

みたいな感じの日々を過ごしていた。







都会に住んでいると、月を見ることも海を見ることもないけれど、それだけ海の目の前にいると、海の満ち引きと月の動きがリンクしていることが肌で感じられる。





日本の旧暦は太陰太陽暦といって、月の初めの一日が新月で、十五日目が満月になるようにできている。東京ではあまり使わなくなってしまったけれど、今でも沖縄の人たちはこの、月の動きにあわせた暦をよく使う。



厳密に言うと微妙にずれているけど、基本的には新月(一日)や満月(十五日)の近くになると干潮と満潮の差が大きい大潮になるし、半月(七日・二十二日)の頃はその差が小さい小潮になることが簡単に分かるので、海の近くで暮らすには非常に合理的な暦だな、とその時感じた。







世界には他にも色んな暦があって、太陽を崇拝していたインカでは太陽の動きを元にインカ暦を作り上げ、特に太陽の力が一番弱くなり、そこから再生していく冬至を一年の始まりとし、盛大に祝う。(これが南米三大祭りの一つ、ペルーのインティ・ライミと呼ばれる祭り。)



北欧では今もミッドサマーと呼ばれる祭りがあって、火を焚いて(&お酒を呑みまくって)夏至を祝うというし、そもそもクリスマスは元々冬至を祝う「異教徒」の祭りだったものをキリスト教が取り込んで、キリストの誕生日にしたてあげたものと言われている。



日本のお盆だって昔は十五夜の満月の日にやっていたわけで、今風に言うなら盆踊りはフルムーンパーティだったのでしょう。







そんな風に、空を見上げて、月を見て、星を見て、太陽を見て、その動きを感じて昔の人が作り上げてきたのが暦なわけです。









さて、我々が今使っている「西暦」ですが、これはグレゴリオ暦と呼ばれ、古代ローマで使われていた暦が元になっているのだけれど、そのめちゃめちゃっぷりが面白い。



6月まではまあいいとして、7月はかの有名なジュリアス・シーザーが勝手に「これは俺の月!」と決めたので名前がJULYなった。そしてその後の皇帝アウグストゥスが「じゃあ8月は俺の月!そしてJULYより少ないのは気に食わない!」ということでAUGUSTと名づけられて31日になった。



そのおかげで2月は減り28日になっているし、9月のSEPTEMBERのSEPTはラテン語で「7」、10月のOCTOBERのOCTOは「8」(蛸が英語でオクトパスなのは八本足だから)、11月のNOVEMBERのNOVEは「9」、12月のDECEMBERのDECEは「10」を意味する。





つまり7月を9月と呼び、8月を10月と呼び、9月を11月と呼び、10月を12月と呼んでいるのがこのグレゴリオ暦なわけです。しかも1月1日に何の天文学的な意味もないし、春分も、夏至も、秋分も、冬至も、満月も、新月も、どこにも一致しない。










ということで、個人的にはこの暦、全く美しくない。







暦というのは生活を反映するんだと思う。



このグレゴリオ暦の正月が巡ってくる度に、我々現代人がいかに自然から離れた生活を送っているか、ということを感じずにはいられません。







とは言えめでたいことが多いのは良きことです。
なので、結論としては

Merry Christmas, Happy New Year, & Happy Solstice !



どうぞ皆様よいお年を!
新しき年が素晴らしい一年となりますよう






2014年12月15日月曜日

快眠のコツ その1 〜 睡眠と光








食事とならんで健康の要となるのが睡眠です。



つい最近、アメリカでCIAによるテロ容疑者に対する拷問の実態が明らかにされ話題となっていますが、その一つに眠らせない拷問というのも入っていたようです。この眠りをうばう拷問というのは、昔からどの国にもあるようで、とことんやると幻覚・幻聴に襲われ、最後には死に至ると言われています。




(ただし普通はいくら不眠といっても、そうなる前に必ず眠りに落ちるように体はできているので、不眠でお悩みの方はご心配なさらないでください。ちなみにギネスブックによる、普通の人が全く眠らずに過ごした最長記録は約11日だそうです。「私はもっと寝ていない」という方はギネス記録にチャレンジしてみるのも面白いかもしれません。)





「寝る子は育つ」と昔から言われますが、実際に科学的にも、眠っている間に放出されるメラトニンなどの睡眠物質により体の免疫作用が高まることや、成長ホルモンの働きにより成長の促進・体のあらゆる細胞の修復や再生・疲労の回復などが行われていることが分かっています。

(よく「睡眠をとることがお肌に大切」と女性が言うのも、この成長ホルモンの働きによるものです。)



また、夢は神様からのお告げという説もあれば、フロイトの様に潜在意識の願望を満たしているという説などもありますが、現代では、睡眠時に夢を見ることによって脳の記憶や情報が整理されている、という説が一般的になっているようです。

経験は全然ないけど体の勢いだけはある10代・20代ならいざ知らず、そこそこの歳になれば、きちんと眠らずに過ごした次の日の体のだるさや、集中力のなさ、イライラ感は誰もが経験したことがあることでしょう。



私たちにとって、よい睡眠をとることは、毎日を気持ちよく、すこやかに過ごしていく上で、決定的に大切な要素の一つです。






ということで、今回から眠りの質を高めるコツについて、3回くらいに分けて書いてゆきたいと思います。




まず今回はその1.「光」です。

「光」が私たちの睡眠のリズムや質に影響を与えているということを知っていたでしょうか?




私たちには体内時計と呼ばれるものが体に組み込まれていて、基本的には毎日自分が寝ている頃になると眠くなり、起きる頃になると目が覚めるように体ができています。


ただしこの体内時計は、地球の一日よりやや長い約25時間に設定されています。これはつまり、放っておくと毎日眠る時間は一時間ずつ遅くなっていって、今日の就寝時間が22時なら明日は23時、その次は0時…という風になっていくということです。

(このことは外界からの影響を全く受けない隔離された部屋での実験により証明されています。)





でもそれだと地球で暮らしていくには何かと不便なので、この体内時計は光をあびるとリセットされるように出来ています。それによって、私たちは基本的には24時ごとに、毎日決まった時間に眠くなるような体の構造になっていて、毎日の生活をリズムよく暮らせるようになっているわけです。





さて、この体内時計をよい方向に動かすためには、朝起きたらまず窓を開けて外の光を浴びることが大切です。朝の光を浴びることによって時計が調節されて、その15時間後に眠くなるように私たちの体はできています。


少し専門的になりますが、これは朝の光を浴びてから15時間後に、メラトニンというホルモンが脳から放出されるためで、このメラトニンこそが眠気を引き起こしてくれる物質です。またこのメラトニンには、どんなSODサプリよりも強力な抗酸化作用があり、免疫を高めてくれる力があると言われています。




なので、まず朝起きたら光を浴びましょう。






そして気をつけなければいけないのは、この体内時計は眠る前に光を浴びるとどんどん悪い方向にずれてゆき、また睡眠時に放出されるメラトニンの量が減ってしまうことです。


ここでいう光というのは、電気による光も含みます。特にPCや携帯の画面、テレビ、LED照明などはブルーライトを多く含み、このブルーライトは強烈に時計を狂わせることが知られています。(また、PCや携帯、テレビは脳を興奮させるので、そういう意味でも寝つきは当然悪くなります。)





それは、簡単にざっくり言うと、睡眠の質を高め、次の日の活力を得るためには、寝る前1~2時間は部屋を暗めにして、電子機器は使わないことが大切だ。ということです。

そして寝ている時は部屋は暗くしましょう。寝ている時にろうそく一本の明るさがあるだけでも、メラトニンの放出量が減ると言われています。



白熱灯はエコの観点からだんだん減りつつありますが、健康的な観点から言えば、少なくとも眠る前はLEDや蛍光灯ではなく、白熱灯の方がよいでしょう。






電気が発見される以前、私たちはごく自然に大きな自然のリズムと共に暮らしていて、昼は明るく、夜は暗いのが当たり前でした。


宇宙船から地球を撮った写真を見ると、夜でも光り輝いている部分があってそれはとても綺麗ですし、また光り輝く街の夜景は遠くから見るととても美しいです。電気のおかげで「便利」にくらせる様になったのは確かですが、その便利さと引き換えに私たちは多くのものを失ったのかもしれません。





それはさておき、

「寝ても寝ても疲れがとれない。」
「夜中に目が覚めてしまう。」
「ぜんぜん寝付けない。」


という方はまず光を意識してみてください。


朝の光を浴びること。夜は暗くして、電子機器をなるべく使わないこと。

が大切です。





次回は体温という観点から眠りについて書きたいと思います。


2014年12月5日金曜日

死体のポーズでリラックス



日本ではなぜか「女性が美容のためにやるもの」というイメージが非常に強いヨガですが、その本来の目的は、仏教と同じく「苦しみの輪廻の輪から解脱すること」で、ヨガはそのための修行法であり、悟りの境地(サマーディ)に至るための「道」の一つです。



悟りとか輪廻とか解脱とか言うと、やたらと小難しく、また宗教的に聞こえますが、平たく言えば「ゆるぎない心の平安を得る」ことがその目的である、という程度に僕は解釈しています。



なので当然、ポーズ(アーサナ)が綺麗にできるようになること自体がヨガの本来の目的ではないし、ましてやできるポーズの数が増えればいい、というものではありません。(はず。)





ちなみにヨガの八つの階梯(アシュタンガ)の初めの一つ、「ヤマ」と言われる5つの戒は、仏教の五戒とほぼ同じもので、よくヨガクラスでやる「アーサナ」や「プラーナヤーマ」はその八つの階梯の3番目と4番目にあたり、「サマーディ」が8つ目の最終段階ということになっています。









そんなヨガの数あるポーズの中で、誰にでもできて、一番役に立つ、と個人的に思うものを2つご紹介したいと思います。





その1つは瞑想・座禅のポーズ。
もう1つは死体のポーズです。





一つ目の瞑想・座禅のポーズというのは、結跏趺坐とか半跏趺坐とか、あるいは達人坐とか呼ばれる坐法で、要は座禅や瞑想のことです。元々遥か昔には、ヨガにはこの1つのポーズしかなかったと言われるくらいなので、その重要性は言うまでもないでしょう。



近年アメリカのビジネス界で瞑想が流行したことがきっかけで、日本でも瞑想の効用が見直されつつありますが、個人的体験からも、瞑想は心身を整えるためにもとても有効な手段だと実感しています。



瞑想については色々と書きたいことがありすぎて長くなるので、またの機会に譲りたいと思います。







二つ目の「死体のポーズ」、シャヴァーサナが今回の主題です。やり方はいたって簡単、仰向けになって寝転んで、体の一つ一つのパーツから力を抜いていき、意識を保ったまま完全にリラックスする。それだけです。



とかく日常生活でがんばっている我々は、体中のそこかしこに余計な力が入っています。それに意識を向け、気がついて、ちゃんと早い段階でケアしてあげれば何も問題はありません。


しかしそのまま放っておくと、段々と心身のバランスが乱れていきます。そしてその乱れが違和感になり、違和感が痛みになり、強い痛みや不調へと変わっていきます。この強い痛みや不調が出た時には、既に体はかなり悪い状態になっていて、そこまで行くと自分の力だけで治すことは難しくなりますし、治るのにも時間がかかります。





この傾向は頑張っている人ほど顕著で、そういう方は気が張っているので、気持ちがリラックスしていればすぐに気がつく様な、ちょっとした「自分の心身の異変」に対して非常に鈍感になっています。


「これくらい大丈夫、まだまだ大丈夫」と自分に言い聞かせているうちに、ある時、風船が段々とふくらんでいって破裂する様に、一気に自分が溜め込んできたものの大きさに気がつく時がくるかもしれません。そしてその時にはわりと手遅れなこともしばしばです。仕事柄、そうなってから後悔した方達を今まで散々みてきました。





何かに向かって頑張っている姿は魅力的ですし、それは素晴らしいことだとは思いますが、何事もメリハリが大切で、頑張っていればいるほど、むしろ逆に人よりも、リラックスする時間を意識して作ってあげることが、陰と陽のバランスとして必要なのではないではないでしょうか?







まずは、自分の体の感覚に意識を向けて、風船の状態に気がついてあげてください。気が付くことができたとしたら、それだけで確実に何かが変わっていきます。

そのためにも、この死体のポーズはオススメです。









ところで、ヨガの行者の中には自らの意思で、心臓の鼓動を止める(緩める)ことができる方がいらっしゃるそうで、それは科学的にも測定され、データとして残っているようです。


そしてインドにはなんと、仮死状態になって棺に入り、地中に埋められ、一月後に掘り出されて蘇生する。という究極の荒行があるそうです。


とは言ってもこの荒行、3人に2人はそのまま死んでしまうそうなので、そこまで頑張って修行してきたのに、そんなことするのに何の意味があるんだろう?と思わないでもないですが、そこが「一生片手を上げて天を支える!」という誓いをした行者もいれば、「一生片足をつかない」という行をする方もいる、インドの奥深さなのでしょう。







そんな行は我々には及びもつかない全く関係ない世界ですし、ヨガのポーズの一つにある足を自分の首の後ろにかけられる様になるポーズなども、勿論見ていてすごいな、とは思いますが、別に私たちのような普通の人がそれをできるようになる必要は全くないでしょう。









ですが、今回ご紹介したこの死体のポーズは、それがちゃんとできるだけで、心身の状態は確実に格段によくなること間違いなしです。どうぞ試してみて下さい。





自分の体と心の隅々に意識を向けてあげること。

自分の体と心に「今起きていること」に気がついてあげること。



全てはそこから始まるし、またそこに尽きるのではないかと思います。