2015年1月5日月曜日

快眠のコツ その2 〜 睡眠と体温



















光とメラトニンが眠りの質を大きく左右するのと同じ様に(→詳しくは「睡眠1」)、体温も私たちの眠りに深く関わっています。



子育てをしたことがあれば、子供が眠りに落ちる前に頭や体が熱くなるのをご存知の方も多いと思いますが、私たちの体は、体温が下がっていく時に眠気を感じるようになっていて、子供の頭が眠る前に熱くなるのは、体内にこもった熱を頭から放熱して体温を下げているためです。







どんなに暑い夏であっても、身を切るような寒い冬であっても、私たちの体の奥深くの体温はある一定の温度に保たれていて、外の暑さや寒さに関わらず、波の様に規則的に上がったり下がったりしています。


基本的には、目を覚まして活動をするにつれて段々と体温が上がっていき、起床から11時間後に最も高くなり(もし朝7時に起きたら夜6時が体温のピーク)、その後段々と下がっていって、起床から22時間後(この場合朝5時)に最も低くなります。







一日や二日の徹夜や夜遊びでは、この深部体温のリズムはそう簡単にはずれませんが、逆に、慢性的に夜更かしが続いて、リズムが一旦ずれてしまうと中々戻すこともできません。



(夜うまく寝付けないという方は、この深部体温のリズムが後ろにずれていて、眠りたい時間になっても体温が下がらず、眠くならない可能性があります。そして「睡眠1」で書いた通り、この時に、眠れないからといって携帯やPCをいじったり、TVを見たりしていると、更に後ろにずれていくことになります。)









「睡眠はお肌に大切」と女性が言うのをよく耳にしますが、これは寝ている時に脳(下垂体)から出る成長ホルモンの働きによるもので、成長ホルモンはその他にも体の疲れをとったり、成長を促進したり、脂肪を燃やしたり、筋肉などあらゆる組織や細胞の修復や再生をしたりと、私たちの体にとって、とても大切な役割を果たしています。



そしてこの成長ホルモンは、眠りに落ちた時の「体温の下がるスピード」が速いほどたくさん放出されます。







つまり私たちの体は、朝起きて、光を浴びてから15時間後にメラトニンが放出されて眠くなるちょうどその頃に、深部の体温もぐっと下がってきて更に眠くなり、その時に眠れば成長ホルモンもしっかりと出るので、グッスリと深く眠れて、スッキリ爽快に目覚められる。

そんな風につくられているのです。





なので、体に溜まった疲れをスカッととって、スッキリと目覚めるためには、「眠っている間に成長ホルモンをたくさん出す」ことが必要で、そのためには「眠りに落ちる時に体温がぐっと下がる様にしてあげる」ことが必要です。









「中々寝付けない」とか、「いくら寝てもすっきりしない」という方は、前回書いた光に気をつけることに加えて、この体温を意識してみてください。





具体的には、例えば眠る1~2時間前に、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、ヨガやストレッチなどごく軽く体を動かして、一時的にわざと体温を上げてあげると、自然にそこから体温は下がっていくので、それを利用したり、今のように寒い時期なら眠るときに湯たんぽなどを使うのも効果的でしょう。



冷え性の方は靴下を履いて寝ている方も多いと思いますが、手先や足先、頭からは熱が放出されるので、できれば素足で眠った方がうまく体温が下がるようです。どうしても必要ならレッグウォーマーなどを使うとよいかもしれません。





ただし、先ほど書いた様に一度ずれたリズムは中々戻りにくいので、すぐに効果がでなくても、光にも気をつけつつ、めげずに続けてみてください。











ちなみに、よく巷では「22時~2時がお肌のゴールデンタイム」で、その時間に眠っていることが大切と言われていますが、実はこれは科学的な根拠はないようです。


というのもこの成長ホルモンは、眠る時間に関わらず、眠りの初めの30分~1時間で訪れる深い眠りの時に最も多く分泌されるからで、つまり何時に寝たとしても成長ホルモンが分泌されないことはないからです。


ただし一説によると、生命活動のリズムという観点からすると、午前2~3時の間に成長ホルモンの分泌が多くなるので、その時間は寝ていた方がよいそうです。










更に話はそれますが、この成長ホルモンが分泌されるのは、眠っている時意外では、「空腹の時」と「適度な身体的/心理的ストレスのある時」だそうです。





野生の動物は、怪我をしたりして調子が悪くなると、何も食べずに寝て過ごしますが、本能的にそれが傷や不調を回復させる一番の道と知っているからなのでしょう。



最近健康のためにファスティングやプチ断食をすることが流行っているようですし、書店に行けば「一日一食にしよう」なんてタイトルの本も並んでいます。また昔から断食をすることによって重病を治す断食療法は盛んですし、長寿と健康の秘訣は小食などとも言われていますが、消化器官を休ませるという観点からも、成長ホルモンという観点からみても、それは科学的にも正しいのでしょう。





僕の尊敬するある鍼の先生は「調子が悪いとか言いながら、バクバク食べて更に体を壊しているのは人間だけよね。おかしくて笑っちゃう。」と仰ってましたが、全く同感です。



戦時中ならいざ知らず、現代人、少なくとも現代の日本人の大多数はほぼ間違いなく食べすぎでしょう。ひとときの欲望を満たすために食べて飲んでお金を使い、それで壊れた体を治すのに更にお金を使っている姿は、視点を変えればとても滑稽なのかもしれません。







睡眠についてはあともう一度くらい書きたいと思います。
今回はこれで。





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